中国・ロシアからのAI技術流出を防ぐ新しい規制枠組み
米国の共和党上院議員であるティム・スコット氏とビル・ハガーティ氏が、外国の敵対国からAI技術を守るための新たな法案を提出した。この法案は、中国やロシアといった対立国家が米国の自動車やスマートフォン、ネットワークに組み込まれたAI技術を悪用することを防ぐことを目的としている。スコット上院議員は「アメリカ国民が中国やロシアの技術を使用される心配をする必要がない状態を作る必要がある」とコメントしている。この法案が可決されれば、米国商務省はAI技術に関する供給チェーンをより厳密に監視・統制できるようになる。
商務省の権限強化とサプライチェーン監視体制の構築
新法案では、米国商務省に対して「敵対国家が所有、管理、または指導する企業によって設計・開発・製造・供給された技術に関わる取引」をブロックする権限を与える。具体的には、商務省の専門部署として「情報通信技術サプライチェーン担当次官」というポストを新設し、AI技術の流出防止に専念させる体制が構築される。敵対国家には現在、ロシア、中国、イラン、北朝鮮が指定されている。特に中国のAI分野における急速な技術進展が、この法案提出の背景にある。一方、法案はオープンソースのAIソフトウェアについては引き続き公開へのアクセスを維持することも規定している。
トランプ政権のAI戦略とGENIUS法成立の背景
スコット氏とハガーティ氏は、昨年のステーブルコイン関連法「GENIUS法」(米国ステーブルコイン国家革新指導法)の成立を推し進めた実績のある議員である。これまで暗号資産規制に積極的に取り組んできた両名が、今度はAI技術保護に力を入れることで、米国の競争力維持への姿勢を示している。トランプ大統領も先月、米国のAI革新を促進する大統領令に署名し、同時に「敵対国家による知的財産の搾取と盗難から米国の技術的優位性を守る」と明記している。ただし、現在の議会は夏休みと中間選挙に向けて日程が逼迫しており、この法案が単独で可決される可能性は低い。別の重要法案に盛り込まれる形での成立が想定されている。
