Binanceの創業者CZ(Changpeng Zhao)が、ここ数日のSNS上で集中的な批判の矛先 になっています。
2024年9月の出所から約4ヶ月、2026年1月下旬にホワイトハウスのペンギン投稿などで市場が盛り上がる一方で、英語圏のTwitterでは「詐欺師」「刑務所に戻るべき」といった過激な言論が渦巻いています。
この記事では、CZ批判がなぜ今この時期に集中砲火となったのか、その背景にある信頼喪失の構造 を解き明かします。
ネコ編集長「なぜCZが批判されているの?」
「Binanceの何が問題なの?」
という疑問をお持ちですね。
このCZ批判の背景には、2024年10月のフラッシュクラッシュ、Binance Alphaの上場戦略、そして弱気相場における感情的な矛先転換 が複雑に絡み合っています。
この記事では、その全貌をわかりやすく解説いたします!
- Binanceの現在の問題を理解したい人
- CZ批判がなぜ今起きているかを知りたい人
- 2024年10月の闪崩事件の真相を知りたい人
- Binance Alphaの論争を理解したい人
- 仮想通貨市場の感情的な動きを学びたい人
本記事:TechFlow Post(@TechFlowPost)による分析X投稿を参照
元記事:https://x.com/TechFlowPost/status/2016756346495127959
人は「悪役」を必要とし、いまその役を担わされているのがCZだ。


弱気相場では、どうしても誰かを見つけて叩きたくなる。
ここ数日、その対象がCZになった。
X(旧Twitter)で彼の名前を検索すると、英語圏のタイムラインは、
「詐欺師」「刑務所に送り返せ」「SBFより100倍悪い」といった言葉で埋め尽くされている。
コメント欄には「暗号資産犯罪ランキング」と題した画像まで作られ、CZの顔写真が最上位に置かれていた。
さらにスクロールすると、誰かが昨年Binanceに上場した200以上のトークンのチャートを貼り付けている。ほぼすべての線が同じ方向、つまり下落を示しており、添えられた言葉は四文字――「構造的な刈り取り」。
組織的な抹黒か、感情的な放出か


これが組織的・計画的な中傷なのか、それとも暗号資産の冬の中で積み重なった損失感情が一気に噴き出した結果なのかは分からない。
ただ、ここ数日、SNSで最も激しく批判されている人物がCZであることは確かだ。
中国語圏での批判
中国語圏では、表現こそやや抑えめだが、本質的には同じ内容の批判が広がっている。
英語圏ほどの過激さはないものの、「10月事件の疑問点」「Alpha上場銘柄の下落」「信頼喪失」といった論点は共通している。
個人投資家だけではない批判


批判しているのは、個人投資家だけではない。
2026年1月28日、OKX創業者のStar Xu(徐明星)氏はXに投稿し、昨年10月10日の出来事について、次のようにコメントした。
(昨年10月10日の出来事は)業界に現実的かつ長期的な損害を与えた
名指しはしていないが、誰を指しているのかは明らかだ。競合企業のこうした発言は、この局面では感情をさらに煽りやすい。
Hyperliquidが静かに躍進
その一方で、別の場所では新興デリバティブ取引所Hyperliquidが存在感を高めている。
HIP-3契約の取引量は過去最高を更新し、創業者のJeffは以下のように語った。
一部の取引ペアでは、流動性の厚みがすでにBinanceを上回った。
ユーザーと資金の流出
一方その裏側では、HyperliquidのHIP-3契約の取引量が過去最高を更新している。創業者のJeffは、「一部の取引ペアでは流動性の厚みがすでにBinanceを上回った」と語った。
挑戦者たちは、流出していくユーザー、資金、そして注目を静かに受け止めつつある。
内側の問題が収まらないうちに、外からの圧力も強まる。
これはBinanceにとって、ここ数年で最も厳しい年明けかもしれない。
感情に火をつけた一言


ARK創業者ウッド氏の発言
英語圏で批判が一気に噴き出したきっかけは、ある発言だった。
1月26日、ARK Invest創業者のキャシー・ウッド氏は、Fox Businessのインタビューで「最近ビットコインがなぜ弱いのか」と問われ、次のように答えた。


昨年10月10日、Binanceでソフトウェアの不具合が発生し、大規模な自動デレバレッジが起き、システム全体で約280億ドルが強制清算された。
ソフトウェアの不具合(associated with a software glitch)
この四文字が、彼女の口から語られたことの重みは、英語圏では特に大きかった。
彼女が率いるARK Investは、世界でも屈指の積極的なテクノロジー投資機関であり、ビットコインがまだ200ドルだった時代から投資を行ってきた。ここ数年は相場低迷の影響で損失も出しているが、機関としての影響力はいまも健在だ。
ウォール街で最も目立つビットコイン強気派の一人が、公の場でBinanceを批判した。この事実そのものが、市場にとって一つのシグナルになった可能性がある。
戦略的なポジショニング
見落とされがちだが、彼女がこのインタビューを受けた同じ週、ARKは2,000万ドルを超えるCoinbase株を買い増していた。Coinbaseは米国最大の規制準拠型取引所であり、西側市場ではBinanceの最も直接的な競争相手だ。
こんな言葉が思い浮かぶ。
公の発言は、思想や認識を語るためではなく、立場と利益を守るために使われることがある。
Binance 共同創設者からの反論
Binance共同創業者のYi Heは、すぐに反論した。
ウッド氏はBinanceのユーザーではないし、Binanceは米国人向けにサービスを提供していない。
では、ウッド氏は本当に特定の立場に肩入れしていたのか。
その問いに彼女は答えていないし、答える必要もなかったのかもしれない。ただ、この発言が、10月以降くすぶり続けていた感情に火をつけたのは間違いない。
募る不満
おそらくこれは、多くの人の心に溜まっていたものだった。
10月以降、誰を責めればいいのか、誰に説明を求めればいいのか分からないまま、3か月以上が過ぎた。ウッド氏の一言は、その閉塞感にちょうど裂け目を作った。
別の見方をすれば、「280億ドルの清算」は、非常に分かりやすい標的でもある。
単純で直感的、説明も要らず、感情を伴いやすい。もし誰かがBinanceに攻撃を仕掛けたいのなら、物語を作る必要すらない。材料はすでに揃っていた。
だから、その後に起きた出来事が「長年溜まっていた本音」なのか、「組織的・計画的に口実を得た動き」なのかは、いまも判然としない。ただ確かなのは、一度裂け目ができれば、両方の力が一気に流れ込むということだ。
説明されない10月の急落と積み重なる不満


裂け目が開いたあと、流れ込んできたものはあまりにも多かった。
投稿をよく見ていくと、批判の内容は実質的に二つに集約される。
1つは昨年10月の急落(フラッシュクラッシュ)、もう1つはBinance Alphaの上場銘柄だ。
① 2025年10月11日のフラッシュクラッシュ
まず10月11日。
あの日いったい何が起きたのかについて、いまも完全な調査報告書は公表されていない。Binanceの公式説明は「市場要因」であり、システムは正常に稼働していたとし、影響を受けたユーザーには2.83億ドルを補償したというものだ。
しかし、個人投資家の記憶に残っているのは別の数字である。
280億ドル規模の強制清算
消えた99%の疑問
2.83億ドルは確かに補償されたが、それは280億ドルのわずか1%に過ぎない。残りの99%は誰の資金で、どこへ行き、なぜ数時間のうちに消えたのか。
市場では様々な仮説が語られてきた。
- マーケットメーカーの問題:市場流動性提供者のシステム障害
- システムの脆弱性:セキュリティホールの悪用
- 意図的な売り崩し:計画的なマニピュレーション疑惑
さまざまな説が3か月にわたってX上で語られてきたが、公式から十分に納得できる説明はほとんど出ていない。
沈黙が招く信頼喪失
SNSでは、沈黙そのものが一種の回答になっている。
ユーザー心理としては、「説明がない = 説明できない理由があるのではないか」という解釈が成立しやすくなる。
280億ドルという巨額が数時間で「蒸発」した出来事の透明性が不足している状況が、信頼喪失の根底に存在している。
② Binance Alpha上場銘柄の走向
次にBinance Alphaの上場だ。
Binance Alphaは、Binanceが昨年立ち上げた新規プロジェクト向けの上場枠で、「早期発見」を売りにしている。
批判者はさまざまな統計図を示し、多くのAlpha銘柄が「上場後に上昇し、その後急落する」動きをしていると指摘する。割合は集計方法によって異なるが、「高く始まり、安く終わる」という印象はすでに定着してしまった。
CZの言葉が火に油を注ぐ
市場全体が弱気である以上、Alpha銘柄の下落自体は不思議ではない。ただ、以前CZが語った
良いプロジェクトは取引所に頼って上場しない。
という言葉は、いまの感情の中では逆効果になっている。
単なるリスク問題から信頼問題へ
確かに、この言葉は論理的には正しい。
もしAlphaが単なる低品質案件の集積所であれば、多くの人は受け入れただろう。10件中9件がゼロになっても、「自己責任」で済ませられる。
しかし、「選別された良質案件」とされていたにもかかわらず下落が激しく、陰謀論や内部情報の噂まで広がり、Binanceという信頼の拠り所自体が揺らぎ始めたとき、感情は大きく変わる。
だが、それらが重なり、同じプラットフォーム、同じ人物へと収束していくと、もはや単なるリスクの問題ではない。
それは、信頼の喪失である。
弱気相場はこの感情を増幅させるが、感情そのものが無から生まれたわけではない。
CZの帰還


2024年9月27日、CZは出所した。
司法取引(有罪を認める合意)の一環として、彼はBinanceのCEO職を辞任し、日常業務には関与しないと約束した。
10月末、彼はドバイで開催されたBinance Blockchain Weekに姿を現し、会場は総立ちで拍手に包まれた。客席からは「王が帰ってきた」「殉教者だ」といった声も上がった。彼は獄中生活について語り、楽しいものではなかったが、多くの時間を振り返りに使えたとも話した。その後、教育プロジェクトのGiggle Academyや、YZI Labsが投資したAsterなどが、Hyperliquidとの競争に向き合う前向きな動きとして受け取られた。
今年1月には、ダボスに登場し、CNBCのインタビューで「2026年はビットコインの“スーパーサイクル”になる。5〜10年で見れば、ビットコインは必ず上がる」と語った。これらはいずれも前向きな発言だった。
しかし、1月28日、CZはXで次のように反論した。
最近、多くの見知らぬアカウントが突然現れ、私の見解に対してFUDを仕掛けている。投稿内容はほぼコピーだ。これは組織的な攻撃だ。
ただし、CZはいまもBinance最大の株主である。
そのため、避けて通れない問いがある。
この1年で、Binanceは本当に良くなったのか。
この問いに対する外部の評価は、必ずCZ個人へと投影される。
業界全体の停滞や反省も、同じくCZへ向けられる。
なぜ今、批判されているのか?
冷静に見れば、CZの出所からはすでに1年以上、Alphaの開始からも半年以上、10月の急落からも3か月以上が経っている。それでも、なぜ今になって一斉に批判が噴き出したのか。
答えは相場にある。
相場悪化と伝統資産への流出
ビットコインは昨年8月の高値から約20%下落し、9万ドル近辺で足踏みしている。一方で、金は5,000ドルを突破し、銀は最高値を更新、銅も上昇している。
- 金:5,000ドルを突破
- 銀:新高値を更新
- 銅:上昇トレンド継続
伝統的な資産が堅調な中で、暗号資産市場だけが取り残されている。
この状況は、仮想通貨保有者にとって悔しいものだ。
ミームコインの大量上場と失望
BNB ChainやBinance Alphaでは大量のミームコインが登場した。中国語のピンイン、絵文字、読み方すら分からないものもある。
多くのトークンは「上場が天井」で、3日で半値、1週間でほぼ消える。展開は毎回同じだ。
この相場では、人は心が折れる。
他人が金を買って利益を上げるのを見ながら、自分はコミュニティで「次のAlpha銘柄は何か」と探し続けても、成果が出ない。
怒りには出口が必要だ。
最も有名で、最も裕福で、直近で「ビットコインのスーパーサイクル」を語った人物――CZは、その矛先を受け止める存在になった。
弱気相場が生み出す「悪役」


ウッド氏の発言も、英語圏の批判も、CZがそこにいたからこそ集中した。
最も有名で、最も資産を持ち、直近で「スーパーサイクル」を語った人物だったからだ。
彼を叩く方が、相場を叩くよりも手応えがあり、自分を責めるよりも楽だった。
だからといって、批判に根拠がないわけではない。
10月の出来事の疑問点も、Alphaの問題も、信頼の低下も事実である。
相場による評価の変動
強気相場では誰も気にしない。上がっているとき、取引所は仲間であり戦友だ。下がれば、同じ存在が「仕掛ける側」「刈り取る側」「悪の象徴」になる。
人間心理はそういうものだ。暗号資産の世界では、なおさらである。
人は悪役を必要とする。
そしていま、その役を担わされているのがCZだ。
だからこの論争は、Binanceへの裁きというより、弱気相場における感情の集団的な放出に近い。
CZは唯一の標的ではない。ただ、最も大きな標的なだけだ。
叩き終えたあとも、日常は続く。
この業界には、信頼を修復するための大きな上昇が必要だ。
相場が早く好転すること、そしてBinanceがより良い方向へ進むことが望まれている。





