不動産ローン企業Kiaviの買収がもたらす実資産トークン化の加速
ナスダック上場のFigure Technology Solutionsが、AI技術を活用した不動産ローンプラットフォーム「Kiavi」を71.7億円(7.17億ドル)で買収することを発表した。この取引は、ブロックチェーン上での実世界資産(RWA)トークン化を加速させるFigureの戦略的な動きとして注目される。
Kiaviは居住用不動産投資家向けの融資プラットフォームであり、今回の買収により、Figureはその技術基盤とオペレーティングプラットフォームを取得する。同時に、Figure と投資ファームのSixth Streetの合弁企業がKiaviの資産を買収することで、包括的な統合が実現する。
買収完了後、Kiaviの資産はFigureのブロックチェーンマーケットプレイス基盤に統合される。これにより、ローン組成、取引相手先、資金分配の効率化が達成され、コスト削減につながると期待されている。
RWA市場で75%のシェアを占めるFigureの支配的地位
Figureは現在、実世界資産トークン化市場全体の75%を占める圧倒的なプレイヤーとなっている。Kiaviの買収により、その支配力はさらに強化される見込みだ。
Kiaviは年間70億ドルのローン組成量を見込んでおり、うち月間1億ドル以上がFigureのプラットフォーム「Democratized Prime」で取引される。このプラットフォームは消費者向けクレジット資産のトークン化とオンチェーン取引を促進する仕組みであり、ブロックチェーン上での金融市場構築を加速させる基盤となっている。
Figureのマイケル・タネンバウムCEOは「IPO成功から9ヶ月でこのような大型案件を実現できるのは、当社のトークン化推進力の強さを示している」とコメント。また、共同創業者兼会長のマイク・キャグニーは「ブロックチェーンは大きな思想だが、オンチェーン資本市場はまだ初期段階。全資産クラスをオンチェーン化するには大胆な行動が必要」と述べた。
金融業界の構造変化をもたらす高成長と利益体質の融合
Figureは2026年第1四半期で1.67億ドルの調整済み純収益を記録し、前年同期比92%の成長を達成した。ローン組成額は29億ドルに達し、前年比113%増を記録。この急速な成長軌跡がKiaviとの統合により加速することが想定される。
買収対象となるKiaviは「高利益率で資産を必要としない軽量な事業モデル」として特徴づけられており、統合後の事業体が中期的なEBITDA利益率60%という目標達成に大きく貢献すると見込まれている。Kiaviのアルヴィンド・モーハンCEOは買収完了後、Figureのチーフビジネスオフィサーとして経営に参画することが決定している。
この買収案件は、単なるプレイヤーの統合ではなく、ブロックチェーンベースの新しい金融インフラ構築への投資である。不動産ローン市場という年間兆円規模の既存金融市場をオンチェーン化することで、仲介機能の排除、コスト削減、流動性の向上が実現される。金融システム全体のデジタル化とトークン化は、数年単位ではなく10年単位で金融業界の構造を変えていく可能性を秘めている。
