米国上院、CBDC4年間禁止法案を可決。デジタルドルの発行に制限

米国がCBDC禁止に動いた背景と政治的対立

2026年6月、米国上院は住宅購買力法案を85対5の圧倒的多数で可決した。この法案に含まれるのは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を4年間禁止する条項である。CBDCとは、各国の中央銀行が直接発行・管理するデジタル資産で、政府版ステーブルコインのような存在だ。米国では現在、FRBがCBDCの正式なプロジェクトを進めていないにもかかわらず、この禁止措置が挿入された。共和党議員たちは、CBDCを政府による過度な監視と個人プライバシー侵害の手段として見なし、欧州や中国に続く道を避けるべきだと主張した。この動きの背景には、トランプ政権の強いCBDC反対姿勢がある。2025年1月、トランプ大統領は「CBDCは金融システムの安定性、個人のプライバシー、米国の主権を脅かす」として、政権がデジタルドル推進に動かないとの大統領令を発表していた。

欧州と中国のCBDC展開が米国の警戒を強める

米国がCBDC禁止に踏み切った背景には、国際的な動向への危機感がある。欧州中央銀行は既にデジタルユーロの開発を進めており、2027年にパイロットプログラムを開始、2029年の本格導入を予定している。中国はさらに先行しており、人民銀行が発行するデジタル人民元の実用化を進めている。これら両地域のCBDC構想は、米国の政治家に対してデジタル通貨時代への対応圧力となった。しかし、ポール前FRB議長は過去の発言で、仮にFRBがCBDCを検討したとしても、運営・管理は銀行に委託すると述べており、政府による直接的な監視体制の懸念は必ずしも正当ではないとの見方もある。一方、新任のケビン・ウォーシュFRB議長は指名公聴会でCBDCに明確に反対し、「悪い政策選択である」と述べた。

4年間の禁止期間は終了、その後の展開は不確定

今回の禁止措置は永続的なものではなく、2030年末までの4年間限定である。法案は下院でも早期の可決が見込まれており、トランプ大統領の署名により成立する見通しだ。法案の正文では「FRBおよび各連邦準備銀行は、CBDCまたはそれに実質的に類似するデジタル資産を、直接または金融機関やその他の仲介者を通じて間接的に発行・作成することはできない」と定めている。この禁止期間中に米国の政治情勢やグローバルなデジタル通貨環境がどう変わるかが、4年後の政策転換を決める要因となるだろう。共和党主導のこの動きは、デジタル通貨への警戒心が米国政界でいかに根強いかを示すものであり、仮想通貨市場における規制リスク要因として注視される必要がある。

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