AIによる暗号解読リスクに備え、イーサリアム研究者が資産移動を提案
イーサリアム財団研究者のジャスティン・ドレイク氏は2026年10月、AIの進歩でECDSAが量子計算の実用化より先に破られる可能性を指摘した。日本の保有者にも、公開鍵を隠せる新アドレスへの計画的な移行が論点となる。
確認できた事実:ドレイク氏が「バンカーモード」を提唱
イーサリアム財団の研究者ジャスティン・ドレイク氏は、ブロックチェーン業界が冷静に「バンカーモード」の準備を始めるべきだと提案した。
同氏が2026年10月7日にXへ投稿した内容によると、取引署名歴がなく公開鍵をハッシュの背後に隠せる新しいアドレスへ、資産を段階的かつ大規模に移す構想である。対象となるECDSAは、ビットコインとイーサリアムが取引承認に使う電子署名方式だ。取引に署名すると公開鍵がチェーン上で見えるため、ECDSAが破られれば秘密鍵を推測され、資産を奪われるリスクが生じる。
ドレイク氏は、量子計算が現行暗号を破る「Q-Day」より前にECDSAが破られる可能性を示し、最悪の場合は「数年ではなく数か月」と表現した。AIを活用した数学研究の進展を根拠の一つに挙げ、楕円曲線は高度な数学的構造を持つため、超知能による攻撃に脆弱だと主張した。
ドレイク氏は同じ投稿で、保有者にパニックや性急な対応を求めているわけではないと説明し、バイナンス、ビットバンク、ロビンフッド、ビットフィネックス、テザーにはコールドストレージの強化を促した。イーサリアムのハッシュベース暗号への移行も加速させる意向を示した。
Today I call upon the blockchain industry to calmly begin planning for "bunker mode". My personal recommendation is to set in motion a controlled mass migration of assets to fresh addresses, i.e. addresses whose pubkeys remain hidden behind a hash.
— Justin Drake (@drakefjustin) 2026年10月7日
Holders, starting with large…
日本の読者への影響:公開鍵が露出したアドレスの管理が重要に
日本の投資家にとって、今回の発言は直ちに資産を移動させる指示ではなく、アドレスと署名方式の管理を見直すきっかけである。
公開鍵がすでにチェーン上へ露出しているアドレスは、将来ECDSAへの攻撃が実用化した場合に標的となり得る。一方、未署名の新規アドレスでは公開鍵がハッシュに隠れているため、攻撃への備えとして相対的に有利だとされる。ただし、アドレス移動には送金ミス、フィッシング、秘密鍵の紛失、取引所の出金制限など別のリスクがある。
ドレイク氏は、50BTC未満を保有するビットコインアドレスには、いわゆる「サトシの盾」による部分的な保護があるとの見方も示した。これは、サトシ・ナカモトに関連するとされる約2万の公開鍵露出アドレスが先に攻撃対象になる可能性を指す表現だが、安全を保証するものではない。
helloBTC編集部の整理と今後の注目点:不安を煽らず移行計画と技術動向を確認
現時点では緊急退避よりも、各チェーンやウォレットが公開鍵の露出をどう扱い、耐量子暗号へいつ移行するかを確認する段階である。
量子コンピューターによる脅威については、イーサリアム財団が専任のポスト量子チームを設け、共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏も耐量子暗号への移行構想を示している。今回の発言は、量子計算だけでなくAIによる数学的ブレークスルーも想定し、移行準備を前倒しするべきだという問題提起である。
読者が確認すべき点は、保有資産の保管先が署名方式の変更に対応できるか、将来のアドレス移行手順が明確か、そして公式情報以外の緊急移動要求に従わないことだ。ECDSAが実際に破られたという事実が示されたわけではないため、根拠のない売却や送金を急ぐべきではない。
一次資料:Justin Drake
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