2026年5月、Coinbaseが静かに、しかし業界に大きな波紋を広げる決断を下しました。ブロックチェーン上で現実資産(RWA)をトークン化するインフラとして、Centrifugeを自社エコシステム「Base」の公式パートナーに指定したのです。同時に7桁(日本円換算で数億円規模)の株式投資も実施。この発表を受け、CentrifugeのネイティブトークンであるCFGは+15%急騰し、過去30日間の上昇率は62%に達しています。
なぜ今、RWAが熱いのか
まずマクロ背景を押さえておきましょう。ステーブルコインを除くオンチェーンRWA市場は、2025年初頭の約65億ドルから現在269億ドル超へと拡大しており、前年比で約300%という驚異的な成長を見せています。Q1 2026だけで30%近い増加を記録しており、加速度的に膨らんでいる状況です。
資産クラス別に見ると、かつてはトークン化米国債(Treasuries)が市場の大半を占めていましたが、今や米国債・コモディティ(金など)・プライベートクレジット・マネーマーケットファンド・不動産・株式と、少なくとも6カテゴリが各10億ドル超の規模に育っています。BlackRockのBUILDLファンド、JPMorganのMONYファンド(2026年1月に1億ドル規模で始動)なども本格稼働しており、機関投資家の参入が本格化している局面です。
CentrifugeとCoinbaseの提携が意味するもの
Centrifugeは2021年創業のRWAトークン化プラットフォームで、アポロ・グローバル、ジャナス・ヘンダーソン、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスといった伝統的金融大手との連携で実績を積んできました。TVL(預かり資産)は2025年半ばに10億ドルを突破し、現在は16.6億ドルまで積み上がっています。
今回の提携では、CoinbaseがCentrifugeをBaseエコシステム上でのデフォルト発行レイヤーに位置づけます。つまりトークン化ETF・クレジット・ストラクチャード商品などをBaseで発行する際、Centrifugeのインフラを標準的に利用する形になります。Coinbaseという世界最大級の取引所が「配管工」役を担うことで、機関投資家にとっての参入障壁が大幅に下がります。数週間以内に最初の機関向けトークン化資産がBase上でローンチされる予定です。
規制面でも追い風——FINRAの歴史的承認
タイミング的に見逃せないのが、同時期にFINRA(米国金融業規制機構)がSecuritizeをトークン化証券取引の初のブローカー・ディーラーとして承認した動きです。SECのAtkins委員長が推進する「イノベーション・サンドボックス」政策とも連動しており、規制側がRWAの制度化に向けて明確なシグナルを出している状況です。
Centrifuge(発行インフラ)× Coinbase(配信網)× Securitize(規制対応ブローカー)という三角構造が整いつつあり、機関マネーがオンチェーンに流れ込む「配管」が着々と敷設されています。
CFGトークンの現状と注意点
CFGは今回の発表で+15%上昇、直近30日では+62%という強い動きを見せています。時価総額は約1億7000万ドル(約255億円)と、まだ中小規模のトークンです。RWA市場の成長を直接反映するプロジェクトとして注目度は高まっていますが、流動性が薄く価格変動が激しい点は留意が必要です。
長期視点では、マッキンゼーはRWAトークン化市場が2030年に2兆ドル、2034年に最大30兆ドルに達すると試算しています。ただし現時点での269億ドルから30兆ドルへの道のりには、規制整備・カストディ問題・流動性確保など多くの課題が残っています。現在進行形のナラティブとして追う価値は十分ありますが、過度な期待は禁物です。
まとめ
CoinbaseとCentrifugeの提携は、RWAトークン化が「実験段階」から「実用段階」に移行しつつある象徴的な出来事です。オンチェーンRWA市場は前年比300%増の269億ドルまで拡大し、機関投資家の参入も本格化しています。CFGトークンは短期的な注目を集めていますが、本質的な価値は中長期的なRWA市場の成熟とともに問われることになります。2026年後半以降、Baseでの機関向け資産ローンチが実際に動き出せば、次のカタリストとなる可能性があります。
