Bybit、テザーゴールドのオプション取引を開始|金の価格変動に賭ける新戦略

仮想通貨取引所大手Bybitが金連動トークンのオプション市場を立ち上げ

世界最大級の仮想通貨取引所Bybitが、実物の金と連動するトークン「テザーゴールド(XAUT)」のオプション取引を新たに提供開始した。このオプション取引は、米ドル連動ステーブルコイン「USDT」で決済され、トレーダーに金価格の変動を活用した新しい取引機会をもたらす。テザーゴールドは1トークンが1トロイオンスの物理的な金の保有権を意味しており、ブロックチェーン上で金への投資が可能になっている。Bybitはオプション市場メーカーのOrbit Marketsと提携し、機関投資家レベルの流動性確保を実現した。Orbit Marketsチームには貴金属取引の経験者が含まれており、ドイツ銀行の元アジア太平洋地域責任者らが参画している。

オプション取引とは|初心者向け基本解説

オプションは金融派生商品の一種であり、買い手に特定の期日までに特定の価格で資産を買う(コール)か売る(プット)権を与えるものだ。実際の購入・売却義務ではなく「権利」である点が重要である。例えば、現在100万円の不動産を、1年後も100万円で買う権利を小額の手数料で得るケースを考えてみよう。1年後に価格が150万円に上昇していれば、契約した100万円で購入できるため50万円の利益が出る。逆に価格が50万円に下落した場合は、その権利を使わず手数料だけを失うという仕組みだ。金融市場ではこのオプション取引により、投資家が価格変動に対するリスク回避(ヘッジ)ができたり、将来の金価格の変動に対する投機ポジションを構築したりが可能になる。仮想通貨市場でも同様にボラティリティ取引やカスタムストラテジーの構築が実現する。

従来の金融市場から暗号資産へ|多兆円規模の市場がブロックチェーン上に進出

世界の金オプション市場は複数兆円規模の産業で、CMEやインドのMCXなどの大手取引所が支配的だ。市場全体の相当規模はOTC(店頭取引)で流通している。Bybitがこの取引機能をオンチェーン化することで、従来の金融市場(トラディショナルファイナンス)と暗号資産市場の境界が一層曖昧になっていく。テザーゴールドのオプションは従来、CoinCallなどの小規模プラットフォームで2024年11月から提供されていたが、Bybitのような大手暗号資産取引所が機関投資家向けの流動性サポート付きで参入するのは今回が初めてだ。この流れは「トークン化の加速」を象徴しており、現物資産がデジタル化される中で、従来の金融商品がブロックチェーンエコシステムに統合される新しい段階を示している。日本の投資家にとっても、円換算での金価格へのエクスポージャーや、新しい運用戦略の選択肢が広がることになる。

目次