HIVE株が10%上昇、カナダのAIインフラ22億ドル契約を発表

ビットコイン採掘からAI計算へシフト、HIVE Digital Technologies の戦略転換

HIVE Digital Technologies(ティッカー:HIVE)は仮想通貨市場でこれまでビットコイン採掘に注力してきた企業だが、大きく事業方向を変えている。その象徴となるのが、カナダのBell Canada(ベル・カナダ)と AI企業のCohere(コヒア)との間で締結された22億ドル規模の3年契約である。この契約発表により、HIVE株は取引開始前(プレマーケット)で10%の上昇を記録した。

契約の内容は、HIVEが保有する高性能コンピューティング部門「BUZZ HPC」が、ブリティッシュコロンビア州メリット地域のBellのAIファシリティに、2,304個のNvidia Grace Blackwell GPU(グラフィックス処理ユニット)を配備するというものだ。これらのGPUは、カナダの政府機関や企業顧客向けのコヘアのエンタープライズAIモデルに必要な計算処理を担当する。全インフラはカナダ国内に留まるため、オタワ(カナダの首都)が推し進める外国支配下のAI技術への依存を減らす政策方針にも合致している。

年間7000万ドルの安定収入、100百万ドルを超える契約済み高性能計算事業収益

この契約が生成する経済的インパクトは極めて大きい。配備は2026年末から2027年初頭にかけて実行される予定だが、実現すれば年間約7000万ドルの定期的な収益(年間経常収益・ARR)をもたらす。HIVEが既に実現している高性能コンピューティング分野の年間経常収益が約3500万ドルであることを考えると、この新規契約により、同社の契約済み高性能計算事業収益は100百万ドルを突破することになる。この数字は、HIVEのインフラストラクチャへの転換戦略が商業的な現実へと変わっていることを強く示唆している。

暗号資産のマイニング業界は電力消費が多く、市場の変動に左右される側面が強い。一方、AI計算インフラの需要は継続的に高まっており、長期的で安定性の高い収益源となりうる。HIVEの経営陣がこうした判断に基づいて事業ポートフォリオを再構成しているのは、業界全体の構造的変化を先読みした戦略だと言える。

カナダの主権的AI計算インフラ整備における HIVE の重要な位置づけ

カナダは近年、米国や中国といった大国に依存しないデジタル技術基盤の構築に力を入れている。特にAI技術の領域では、外国の企業や政府による支配や監視を避けたいという政策的関心が高い。Bell Canada と Cohere はカナダを代表するテクノロジー企業であり、これら二社が協力して国内主権型のAIインフラを構築する際に、HIVE が計算処理インフラの中核を担当することが決まったことは、同社の信頼性と技術力を象徴している。

Nvidia Grace Blackwell GPU は現時点で最先端のAI計算処理に対応できるプロセッサーである。2,300台を超えるこれらのユニットが一箇所に集約されることで、極めて高い計算能力を持つデータセンターが完成する。このような先端インフラが公共部門と民間企業の両方に活用されることで、カナダのAI産業全体の競争力向上につながると期待されている。HIVE はこの国家戦略の実行パートナーとしての地位を確立したのである。

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