10.6億ドルの含み損を抱えるStrategy、キャッシュポジションが危機的水準に
暗号資産分析企業CryptoQuantが2026年6月に発表した報告書は、マイケル・セイラーが率いるStrategy(MSTR)のビットコイン買い増し戦略に対して強い懸念を示した。同社は過去3年間で購入したビットコインのほぼ全てが現在値で含み損の状態にあり、その総額は10.6億ドルに達しているという。特に2024年から2026年に買い増しされたビットコイン保有分の多くが水中状態(購入価格を下回っている)にあることが明らかになった。
より深刻なのは、Strategyの現金準備金が2026年初頭から38%も減少していることだ。同時にビットコイン購入資金を調達するために発行された優先株STRC(Preferred Stock)の配当義務が四倍近くに急増し、年間12億ドルに達した。このままでは配当金をカバーできるキャッシュが14ヶ月分しか残されていないという危機的な状況に陥っている。Strategyが5月に実施した15億ドルの転換社債買戻しは、この資金不足をさらに加速させた要因となった。
優先株STRCの急落が示す投資家の不安感と構造的脆弱性
Strategyの主力優先株STRCは、先週100ドルの基準価格から82.5ドルまで下落し、17.5%という過去最大の下げ幅を記録した。優先株は決まった配当利回りを得る代わりに一般株より優先的に配当を受け取る仕組みの株式だが、STRCは現在11.5%という高い利回りを提示している。それでもなお投資家が売却に走った背景には、ビットコイン相場の調整局面と組み合わさった配当金支払い能力への深刻な疑問がある。
配当カバレッジ(配当を支給し続けられる期間)が7年以上から14ヶ月へと急落したことが、この株価急落の主要な原因だ。元々300万ドル程度だった配当義務が6ヶ月未満で4倍に膨らんだことは、Strategyのビットコイン買い増しペースが持続不可能な水準に達していることを示している。仮にビットコイン価格がさらに下落し、強制売却が必要になった場合、現在の含み損を実現させることになり、株主価値を大きく毀損するリスクが存在する。
現金準備金の再構築とビットコイン購入戦略の根本的な転換が必須
CryptoQuantは、Strategyが直ちにビットコイン買い増しを一時停止し、配当カバレッジが24ヶ月分(約28億ドル)となるまで現金準備金を再構築すべきだと提言した。2026年6月中旬時点でStrategyの現金準備金は11億ドルまで減少しており、目標水準までに17億ドルの積み増しが必要とされている。単にキャッシュを貯めるだけではなく、その後のビットコイン購入も無原則な買いではなく、市場サイクルを考慮した計画的なアプローチに切り替える必要がある。
配当は累積的性質を持つため、支払いをスキップしても後で支払わなければならず、Strategyが配当を中止することはほぼ不可能に近い。そのため同社が取り得る選択肢は限定的で、新規株式発行による資金調達か配当増額による投資家への信号送信しかない。CryptoQuantの分析は、2026年初頭に28億ドルあった現金が現在11億ドルに激減するという劇的な変化を踏まえると、単なる効率性の低下ではなく構造的な危機であることを明確に指摘している。
