BIP-110騒動で浮き彫りになったビットコインの自由市場原理
BIP-110は非金融データを制限する提案だった
ビットコインの改善提案であるBIP-110は、Ordinalsの刻印など一部の非金融データを制限し、ブロックチェーンの容量を金融取引向けに空けることを目指した提案だった。こうしたデータをスパムとみなす参加者がいる一方、提案は開発者コミュニティの公開された議論で検討された。
しかし、BIP-110は幅広い支持を得られず、分散型コンセンサスによって事実上採用を拒まれた。重要なのは、規制当局や中央委員会が禁止したのではなく、ネットワーク参加者の合意形成によって実行されなかった点である。
支持者は独自チェーンを分岐させたが2ブロックで停止
BIP-110の支持者は、自ら望むルールを実装するため、元のビットコインからチェーンを分岐させた。分岐はブロック高961,632で実施され、第三者に強制されない自主的な選択として行われた。
その後、マイナーは収益性の高い元のビットコインを選択した。新チェーンはビットコインの大きなマイニング難易度を引き継いだ一方、ハッシュパワー(採掘に使われる計算能力)の割合がごく小さく、わずか2ブロックを生成したところで停止した。元のビットコインネットワークは途切れず、取引活動、流動性、セキュリティの大部分を維持した。
Strategy創業者のマイケル・セイラー氏は、X(旧Twitter)で「ビットコインは設計どおりに機能した」と述べた。
Bitcoin worked exactly as designed. BIP-110 was free to fork, and the network was free not to follow. The result was decisive: about 99.85% of Bitcoin's hashpower stayed with Bitcoin. The BIP-110 branch mined only two blocks and is already more than 80 blocks behind.
— Michael Saylor (@saylor) 2026年8月9日
日本の投資家が見るべき分散型合意と価格動向
今回の事例は、ビットコインでは新しいルールを提案できても、実際に採用されるには利用者、ノード、マイナーなどネットワーク参加者の支持が必要だと示す。支持を得られない場合でも分岐は可能だが、マイナーや市場が選ばなければ、チェーンの安全性や流動性を維持するのは難しい。
これは日本の投資家にとって、ハードフォークや新チェーンの誕生だけで価値が決まるわけではないという注意点になる。取引量、ハッシュパワー、参加者の支持、流動性を確認することが重要である。
記事時点でビットコイン価格は約65,000ドル付近で推移し、下落に備える需要も続いていた。今週発表予定の米国インフレ指標が、今後の価格方向に影響を与える可能性がある。BIP-110騒動は技術論にとどまらず、分散型ネットワークが参加者の選択によって機能する仕組みを示す事例となった。
出典:CoinDesk
