BlackRock「IBIT」から単日$5.28億流出——BTC ETF週間$13.2億の大量売りが示す機関投資家の「撤退シグナル」

ビットコインETF市場に衝撃が走りました。世界最大のビットコインETFであるBlackRockのIBITから、単日で$5億2,784万ドル(約792億円)が流出。これはIBIT史上2番目の規模で、過去最大記録$5億2,830万ドルに迫る水準です。同日、米国の11本のビットコイン現物ETF全体では$7億3,343万ドルが流出しました。

5月は「積み上げ」から「取り崩し」へ転換した月

4月末から5月初旬にかけて、ビットコインETFは9日連続の純流入を記録し合計$27億ドルを集めていました。それがわずか3週間で逆回転しました。5月18日〜22日の週間流出額は$12.6億ドル(2026年4番目の最悪週)、5月28日を含む週は$13.2億ドルの流出と2026年で最も厳しい週となりました。

特に注目すべきは、5月27日(火)にIBIT株を対象とした$12.9億ドルのダークプール・ブロック取引が成立していた点です。ダークプールとは機関投資家が大口売買を市場に影響を与えずに執行する仕組みで、翌日の大量流出と合わせて「事前に組まれた計画的な売り」が示唆されます。

なぜ機関は売ったのか——3つの背景

アナリストは今回の売り圧力の原因として主に3つを挙げています。

まず中東情勢の緊張です。米国とイランの対立が再燃し、リスク資産全般が売られました。ビットコインは「デジタルゴールド」として地政学的リスクのヘッジになるとも言われますが、実際は株式との連動性が高く、リスクオフ局面では株と一緒に売られる傾向があります。

次に金利見通しの悪化です。米国債利回りが上昇し、FRBの利下げ期待が後退。高金利環境では現金・債券の魅力が増し、リスク資産であるビットコインへの配分が減少します。

3つ目はAIセクターへの資金移動です。Wall StreetがAnthropicなどAI関連企業への投資を拡大しており、「ビットコインを売ってAI株を買う」という資金の流れが観測されています。

IBIT は$590億を保有——「4%問題」とは

今回の流出がなぜ市場インパクトが大きいかと言えば、IBITの規模にあります。IIBITは現在ビットコイン総供給量の約4%を保有しており、運用残高は約$590億ドルに達します。つまりIBITが1%分を売却しても、市場に数十億ドル規模の売り圧力が生じます。

BTCはこの流出を受けて$82,000台から$73,000台まで急落。5月を通じて約11%下落しており、4月の上昇分をほぼ吐き出した形です。

注目点:「過去2番目」でも市場は動じていない?

一部のアナリストは今回の流出を「深刻に見える数字だが、実態は軽微」と評しています。IBITの$590億という巨大なAUMに対して$5.28億は約0.9%に過ぎず、ファンド全体の存続を脅かすものではありません。また、流出後も数日で一部資金が戻ってきており、「利益確定売り」の側面が強いとも見られています。

まとめ

5月のビットコインETF大量流出は、中東緊張・金利上昇・AI投資への資金移動という3つの逆風が重なった結果です。機関投資家の「撤退」というより「ポジション調整」の色合いが強く、BTCの構造的な需要は依然として存在します。6月以降のFRB発言・中東情勢・AI資金動向の3点がBTC価格の方向性を左右するカギとなりそうです。

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