米国の暗号資産法案「Clarity Act」、成立に残された時間は1週間か

米上院の夏季休会迫る、Clarity Actの審議が最終局面へ

上院の休会まで1週間、Clarity Actは手続き投票待ち

米国の暗号資産市場に包括的な規制枠組みを導入する「Digital Asset Market Clarity Act(Clarity Act)」が、重要な分岐点を迎えている。米上院は夏季休会まで約1週間となったが、法案審議を進める最初の手続きである「審議開始動議」は、7月31日時点で提出されていない。

審議開始動議は、法案を上院で正式に扱うための入口にあたる。可決されても直ちに成立するわけではないが、法案を前進させる意思を示す重要な手続きだ。8月の休会前にこの投票へ進めるかどうかが、2026年中の成立可能性を左右する。

仮に手続き投票を通過しても、上院では議事妨害を終わらせるためのクローチャー手続きなどが必要となる。そのため、休会前に法案全体を成立させるのは難しい。ただし、最初の投票を実現できれば、9月の上院再開後に審議を再開する足場となる。

倫理規定をめぐる交渉が法案進展の最大の壁

現在の最大の争点は、法案に盛り込まれる倫理規定である。ルーベン・ガレゴ上院議員とトム・ティリス上院議員は、妥協案となる修正内容をまとめ、ホワイトハウスに提示したとされる。ただし、7月31日午後の時点でホワイトハウスから正式な回答は出ていなかった。

このほかにも、ステーブルコインの準備資産や利回り、法執行機関の権限、商品先物取引委員会(CFTC)の管轄範囲などが協議されている。ステーブルコインは米ドルなどの法定通貨との価値連動を目指す暗号資産であり、準備資産や利回りの扱いは発行者と利用者の双方に影響する重要論点だ。

関係者の見方では、倫理規定で合意できれば、残る論点は比較的短期間で調整できる可能性がある。反対に、ホワイトハウスとの合意が進まなければ、手続き投票そのものが先送りされる展開も残る。

法整備の遅れは米国の暗号資産競争力に影響

Clarity Actの行方は、単なる一法案の成立可否にとどまらない。法案が成立すれば、暗号資産を証券として扱うのか、商品として扱うのかといった規制当局の役割分担が明確になり、市場参加者が事業を展開しやすくなる可能性がある。

一方、法整備が進まなければ、暗号資産企業や開発者が米国外へ流出するリスクが高まる。業界団体の報告では、暗号資産開発者の約80%が米国外で活動し、市場シェアの約88%も米国外にあるとされる。米国は大規模な金融市場を持ちながら、包括的な暗号資産規制の整備で他の主要市場に後れを取っている。

また、今回の手続き投票は、暗号資産業界にとって政治的な判断材料にもなる。各上院議員の投票姿勢が明らかになれば、2026年中間選挙に向けた政治資金の配分や候補者支援に影響する可能性がある。投票が実施されるか、そして誰が法案を支持するかが、今後の米国の仮想通貨政策を占う試金石となる。

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