レバレッジ清算がデジタルクレジット市場を揺さぶった事件
2026年6月19日、デジタルクレジット市場は過去最大級の売却圧力に見舞われた。Striveアセットマネジメントのマット・コールCEOは、この日を「デジタルクレジット史上最も難しい一日」と表現している。STRC(ストラテジー優先株式)は一時82.50ドルまで急落し、SATAも93ドル以下に下落するという急激な下げ幅を記録した。だが注目すべきは、両商品とも100ドルのパー値から完全には乖離せず、その後反発したことだ。
コールCEOは、この相場変動の本質を正確に指摘している。下落の原因は発行体のクレジット品質の悪化ではなく、純粋なレバレッジ清算イベントであると主張した。
Today was the most difficult day in the history of Digital Credit.$STRC traded as low as $82.50 before recovering sharply. $SATA traded from par down to the low 90s before also rebounding. It was a difficult day for many investors.
What happened today was a leverage…
— Matt Cole (@ColeMacro) 2026年6月18日
デジタルクレジット市場が提供する二桁台の高利回りに魅了された投資家たちが、リターンを拡大させるためにレバレッジを活用していた。価格が下落した際にマージンコール(追証)が発動され、強制売却のスパイラルが生じた構図だ。
キャリー取引の落とし穴とポジションの自動清算メカニズム
金融市場では長年前から「キャリー取引の道は地獄への道」という相場格言が存在する。高利回り資産に対するレバレッジ投資は、相場が順調な局面では莫大なリターンを生み出すが、市場が反転した瞬間に危機的状況に陥る。今回のデジタルクレジット急落は、まさにこのキャリー取引の危険性を露呈させた事例である。
コールCEOは、この現象を過去の米国債市場における大型ヘッジファンド破綻に例えている。レバレッジを活用した米国債投資が破綻した際も、米国債そのものの信用力は毀損していなかった。同様に、今回のデジタルクレジット市場においても、基礎となる発行体の信用質は変わっていないというロジックだ。Striveの配当金準備金は完全に保持されており、企業体に対するストレスは存在しないと強調している。
安値拾いで急速に回復した市場心理と信用の分離
興味深いのは、STRC と SATA がパー値付近まで急速に回復したことだ。安値圏での積極的な買い出動があり、これはデジタルクレジット資産に対する需要がまだ存在することを示唆している。投資家心理の変化と価格形成メカニズムが、クレジットイベントとは異なるリクイディティイベントの特性を明確に表している。
コールCEOは「リクイディティイベントとクレジットイベントは別物である」という重要な指摘をしている。前者は一時的な売却圧力による価格変動であり、後者は発行体の返済能力喪失を意味する。市場参加者がこの区別を理解できるかどうかが、今後のデジタルクレジット市場の安定性を左右する要因となるだろう。レバレッジの活用レベルを適切にコントロールすることが、次の課題として浮上している。
